ホタルイカと言えば白エビや寒ブリと並ぶ富山の食材として有名ですが、このイカ、その名のとおり発光生物です。毎年、主に3~5月の新月前後の夜の満潮時刻あたりに、浜辺に出現しては打ち上げられ、身悶えするときに青い光を放ちます。
これは『ホタルイカの身投げ』と呼ばれる富山湾の名物で、集団で身投げする光景を一度見てみたいと思っていましたが、ようやくそこそこの規模の身投げを見ることができました。冒頭の写真がその時のものです。
(カメラの『ライブコンポジット』という機能を使って撮影していますので、実際の見た目よりもたくさん写っています)
この日は深夜1時頃に浜辺に到着しましたが、すでに身投げをした個体がいくつか、青い光を放っていました。その後徐々に数が増えて3時過ぎ頃にピークを迎え、薄明を迎える4時を待たずに身投げは終了しました。ピーク時は見える範囲におそらく200匹(イカだから匹じゃなくて杯?)くらいののホタルイカが光っており、かなり見応えがありました。
ホタルイカが光を放つ時間は、打ち上げられてから長くてもせいぜい5分程度のようで、その後は観念して動かなくなります。つまり、身投げが次から次へと続くことで美しい光景が継続する訳で、その美しさとは裏腹に、暗闇にはホタルイカの死骸が積み上がっていくのです。
ちなみに、身投げをする理由はまだ解明されていないそうで、海底から産卵のために上がってきたホタルイカが月が見えないために方向を見失い、浜に近づきすぎて打ち上げられてしまうのではないか?と考えられているそうです。また、産卵目的なので、身投げするのは基本雌だけだそうです。
一応、動画も撮っておきました。ピークをちょっと過ぎた頃ですが。
そして空が明るくなってくると、波打ち際には大量のホタルイカの死骸が連なっていたのでした。
美しい光景を見せてくれてありがとう。産卵という大役、お疲れさま。
追記)
打ち上げられてしまったホタルイカは笠?の内側に砂を巻き込んでしまうので、丸ごと食すには向きません。笠を開いて、内臓と目と嘴を取って良く洗い、笠と足を刺身にしていただきます。
丸ごと食べる分を捕獲するには、接岸する前の泳いでいるところを掬わなければならないので、ウェーダーが無いと厳しいと思います。長靴では少しの波でもイカのところまで網が届かず、悔しい思いをすること請け合いです。
なお、内臓の生食は厳禁です。念の為。